
去年に引き続き、今年のゴールデンウイークも北海道を巡る予定でいる。
去年の旅の模様は以前の記事で少し触れた。
前回は道央の支笏湖周辺や美瑛・富良野、道北のオロロンラインを中心に巡った旅だった。
今年は道東の方へ走ろうかな、とぼんやり考えている。
とはいえ、天候や自分の気分次第。
どんな旅になるか、楽しみだ。
今年も北海道で、リリさんの笑顔を追いかけてみたい。
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旅の準備をしながら、ふと「北海道への距離感覚」について考えた。
これを読んでいるあなたにとって、北海道は(北海道に住む人なら本州は)「遠い場所」だろうか。
それとも「近い場所」だろうか。
日本列島の中でも北海道は特別に遠く広く大きな場所で、そこから生まれる憧れから「旅人の聖地」なんて呼ばれたりもする。
北海道に対する「距離感」、つまり「遠さ」が、物理的なものか精神的なものか、あるいはその両方入り交じったものかは人によって様々だろう。
「遠い場所と感じる」ことは旅において、大きな魅力につながる。
自分にとって遠い場所(「身近」の対義)だからこそ日常感が薄れ、感情が揺さぶられやすい。
風雨来記という作品が、旅をしたことがないプレイヤーをも実際に旅に駆り立てたのは、そんな「遠い場所を旅することへの憧れ」をうまくゲーム(シナリオ、システム、ビジュアル、音楽)に落とし込んでいたからだと自分は思う。
たとえば風雨来記1と3の二作は北海道が舞台で、主人公は別だが二人とも北海道に並々ならない思いを持って旅を始めていた。
1の主人公は中学生時代に幼なじみと駆け落ちして東京から北海道を目指したものの、あとほんの少しの青森で保護されて失敗に終わったという経験を経ている。
3の主人公は高校生時代にネット上で北海道を旅する記事を見て感銘を受けた結果、何年も訪れることを控えるくらい北海道を神聖化していた。
そんな彼らによる「満を持してのはじめての北海道の旅」だからこその魅力が、風雨来記1や3には詰まっていた。
極論、「北海道を訪れるのが100回目の主人公」だったら、全く別の作品になったはずだ。
決して最初の旅こそが最高とは言わないが、繰り返すうちに慣れて、最適化されて失われていく「遠さ」というものはあるだろう。
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自分にとっての北海道への距離感はどうかというと……
京都から北海道。
風雨来記に憧れてはじめて探訪したときは、京都北部の舞鶴港から小樽港までフェリーで丸1日かかった。
また、自転車日本一周のときは北海道入りまで2ヶ月かかった。
そうした想い出の印象が強かったため、長らく「遠い場所」という固定観念が自分の中であったけど、それが大きく覆ったのが去年の北海道旅だった。
光年という「時間を利用した距離の単位(光の速度で進んで○年分の距離)」があるけど、時間と距離というのは人間の感覚の中で近いところにある気がする。
どちらの長さも主観によって伸び縮みすることがあって、たとえば実際の距離が長くても、移動にかかる時間が短ければ近く感じたりするものだ。
10キロ離れた場所は歩いて行くなら数時間かかるから、遠い場所と感じる人が多いはずだ。
これが車だと10分。近い場所と感じる人がほとんどだろう。
でも途中にものすごい渋滞ポイントがあって、一時間以上かかるなら「近いけど遠い場所だ」と言う感覚を持つひともいるはずだ。
そう考えると……極端な話、ドラえもんのどこでもドアが実用化されてそれを使うのが当たり前の社会になったとしたら、「遠い場所」という概念自体がなくなるのかもしれない。
自分が昨年の旅で、北海道を「近い」と感じるようになった理由は、このあたりにある気がする。
北海道の千歳空港を17時に発ったら、
22時前には京都の自宅に着いた。
めっちゃ近い!
京都から北海道までは、移動時間だけで言えば最短で4時間ほどとなる。
内訳は以下の通りだ。
京都から大阪南部にある関西国際空港まで 2時間 (約100キロ)
関西国際空港から北海道の千歳空港まで 1時間50分 (約1100キロ)

遠いという知識はあるのに、実際にかかる時間は京都から大阪の空港へ行くよりも「短い」ので、頭がバグってしまう。
たぶん、今後自分が陸路で北海道を目指したり、あるいはフェリーを利用して時間をかけて渡道したならこの距離感はまた「リセット」されて遠く感じることもあるかもしれない。
北海道旅の諸費用
いい機会なので、かかった費用もかんたんにまとめておこう。
結論を先に書くと、お土産代や食事代を除いた旅費は全部あわせて5万円ほどだった。

まず飛行機代から。
理想をいえばバイクとともにフェリーに乗って北海道に上陸できればいいが、休日は4日しかなかったので飛行機を選んだ。
LCC(格安航空)を利用し、早めに予約したこともあって関空―千歳便が片道6000~8000円ほどだった。往復でだいたい15000円。
LCCの金額は、「時間帯(早朝の便は安い)」と「曜日(祝祭日の前日便は高い)」と「予約日(早いほど安い)」と「オプションサービス(預け荷物の有無や座席の指定等)」で大きく変わる。

次に、京都から関空までの交通費(電車賃)。
京都駅からの直通列車や直通リムジンバスなどもあるが、特に急ぎでもなかったので一番安価な普通電車を利用した。
これが片道1800円弱。往復で3500円ほど。

さらに、千歳から札幌までの交通費が1150円。
往復で2300円となる。
これらを合計して、だいたい22000円くらいが京都-北海道を往復するのにかかった交通費だ。
予約するタイミングや日時次第では20000円以下になったと思う。
それまで思っていた以上に安く、この「安さ」もまた、自分の中での北海道への距離感が縮まった要因のひとつかもしれない。
ちなみに、京都からフェリーを利用して北海道へ行く場合も往復で20000円前後。
バイクや車持ち込みだと数倍~10万円以上かかってくる。

次に、北海道での移動に関する費用。
まず、レンタルバイク代。
この旅では、「ヤマハ レンタルバイク札幌」を利用した。
レンタルバイクショップ自体は千歳空港周辺にもいくつかあった。
にもかかわらず、なぜ往復2300円の交通費をかけてまで札幌でレンタルバイクを借りたかというと、理由はみっつある。
○一番は、風雨来記4でタイアップしていたのがヤマハだったから。
この機会に、ヤマハのバイクに乗ってみたい!と思った。
4作中ではMT10SPというフラッグシップモデルが採用されていたけど、自分は大型免許は持っていないし軽量で取り回しのしやすいバイクが好みだったので、MTシリーズの中でも一番軽いMT125を選んだ。
MT125は当時まだ発売して数ヶ月の新モデルだったので、取り扱っている店舗が少なかった。
(MT125の元となったMT15は元々インドネシアなど二輪人気の高い海外で発売されていて、逆輸入の形で日本で発売されるようになった経緯がある。そのため今でも生産はインドネシアで行われているらしい)
○二番目は、保険関連のサービスが充実していたから。
レンタルバイクというものはレンタカー以上に損傷のリスクが大きい。
乗っている人間が何かの拍子でバランスを崩すと、容易く倒れてしまうからだ。
はじめてのレンタルバイク利用ということもあって、当時はどこで借りようかとたくさん調べまくった。
バイクメーカーの中では、YAMAHAとHONDAが宣伝広報も兼ねたレンタルバイクサービスを展開している。
大手企業の直営ということもあって、この二社のサービス、特に保険の充実ぶりは群を抜いて安心感が高い。
バイクをレンタルするんだから保険に入るのは当たり前なんじゃないの?と思うかもしれないけど、その保険の内容がサービス会社によってけっこう違ったのだ。
たとえば、レンタルバイクで事故を起こして何十万も支払うことになった、というような話はネットでは散見される。
なんでそういうことが起こるのか。
まず、任意保険に入らなかった場合、いざ事故が起こったときにすべて自腹で保障することになる。
また、保険に入っていた場合でも、一定の免責金額(車体の排気量や価格によって違う)は自分が支払う必要があり、それを超えた場合に残りが保険会社が払ってくれるというシステムのところが多い。
さらに、それとは別に「修理中そのレンタルバイクは使えない=営業損害」を補償するものとして休業補償というものもある。
修理に時間のかかる大きな事故をするほどこの金額が大きく膨れあがる。
多くのレンタルバイクサービスでは、保険に入っていたとしても、事故を起こした際に免責金額と休業補償を支払う必要があるので、その金額が数万円から数十万円になってしまうわけだ。
バイクの運転に自信がある人なら問題ないだろうが、そうでない人にはなかなかハードルが高い。
立ちごけでもしたらどうしよう、というような不安がつきまとうせいでツーリングを楽しめなかったら本末転倒だ。
自分もそういうタイプなので、やっぱりレンタルバイク借りるのは怖いなぁと思っていたんだけど、YAMAHAのレンタルバイクサービスには、免責を免除するオプション、休業補償を免除するオプションが用意されていた。
レンタル時にこれらのオプションに加入していれば、万が一バイクを倒したりぶつけてしまった場合でも、追加料金が発生しない。
安心して、ツーリングを楽しむことができるわけだ。
このオプションサービスがなかったら自分はレンタルバイクを利用する勇気はなかったと思う。
(結果的には無事故無違反で旅を終えたけど、それでも入っておいてよかったなと心から思う)
ちなみに、保障の範囲も保険会社やサービスによって様々だが、基本的には「事故の補償」のため事故以外では下りない。
では、保険における「事故」とは何か。
これは単純明快で、警察が事故と認めたかどうかになる。
たとえば、信号待ちとか駐車時の立ちごけでも、警察を呼んで確認してもらえば「自損事故」となる。
逆に、後ろから車に追突されたけれど警察を呼ばなかった場合は事故とは認められない。
保険会社は警察の「事故証明」を保険金支払いの根拠にするからだ。
普段なら立ちごけで警察を呼ぶ人はまずいないだろうが、レンタルバイクのときは借り物ということを意識して恥ずかしがらずにちゃんと警察に事故を確認してしまうこと。
○YAMAHAのレンタルバイクを借りた理由、三番目。
安い!
125ccクラスはびっくりするくらい安い。
この金額で本当にいいの?と言いたくなるような値段設定だった。
具体的には、24時間までは6500円で、二日目以降は4500円。
これに先述の免責オプションや休業補償オプションを加えても、全部合計しても三泊四日で25000円前後だった。
ちなみに、MT10のようなリッタークラスになると24時間で26500円、250ccのMT3でも11000円に設定されていて(2024年時点)、それでもレンタルバイクとしては安めなくらいだったから、125ccの価格設定は本当に破格だと思う。
理由はみっつと書いたけど、他にもネットでの口コミがすごく良かったことも大きかった。
実際利用してみたらその通りで、スタッフさんが本当に親切だったしまた是非利用したいと思えて今回のリピートにつながった。

最後に、ガソリン代。
MT125は燃費優秀で、リッター45キロ以上は余裕で走ってくれた。
札幌から支笏湖を経由して富良野、美瑛、旭川、宗谷岬まで走って札幌まで戻って1000キロ以上。
ぜんぶ足してもだいたい5000円くらいだったと思う。
ここまでを合計して、2024年北海道旅の交通費(電車+飛行機+レンタルバイク+ガソリン代)は5万円程ということになる。
京都から北海道にいって、さらに宗谷岬まで行って帰ってという距離を考えればじゅうぶん安い旅費だったんじゃないかと思う。
今年も基本的に、同じ様なプランで北海道を旅するつもりだ。
今年も、想像力のかきたてられる面白い旅をしたい。

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