母里の里を巡る旅2025 序

島根を巡る旅から帰ってきた。

坂、遺跡、炭酸、温泉、山。

振り返ってみると、今年の夏の旅はどこかしらで全部がつながっていたと思う。
早速旅の記憶をここにまとめていきたいところだけど、一日目を書き終えた時点で一万文字を超えてしまった。後半に進むに従って文字数が増えていく傾向にあるから、十日分を書き終えるのはかなり先になるだろう。



そうした旅の模様は次回以降順次アップしていくつもりだが、今回は、今年の島根旅で最も印象的だったことにしぼって書いておく。









雨が結んだ旅

旅の醍醐味のひとつに、「予期せぬ出会い」がある。
人との出会い、場所との出会い、出来事や歴史との出会い。


島根を訪れるのは今年で3度目で、過去の探訪でほぼ島根一周と言えるほど県内を巡ったから、どこにどんな街やスポットがあるか、どの道をどう走ればそこへ行けるかなどをおおまかに把握して「しまって」いた。
なるべく違ったルートをとるように巡るとしても、道中に「いつもの場所」「いつもの道」が増えてくる。
そして、「どうしても行きたかった場所」は過去の二年でだいたい探訪済み。



だから、旅に出るまでは……いや実際に出て島根に着いた初日の時点ではなんとなく「予期せぬ出会い、目新しい発見はもう無いかもしれない」と思っていた。


「気ままな旅」というよりも、事前にピックアップした行きたいスポットを順番に巡る「計画的な旅行」になるかもしれない。
それもまた悪くないけれど、過去に感じたような驚きとか感動とかいうものは期待出来ないんじゃないだろうか……

ばくぜんと、そう感じていた。



ところで、今回の旅の日程ではひとつ大きな懸念点があった。
9日間の旅程の中で、前半の3日間に「雨マーク」がついていたことだ。

実際には予報より悪化して、初日(土曜日)の夕方から5日目(水曜日)までずっと雨模様が続いた。
降雨量も多く、線上降水帯による集中豪雨にも遭い、行動不能に陥ったこともあった。




だが、しかし、結論から言っておくと、今回の島根旅は、「雨があったからこその、予期せぬ出会い」に満ちていた


雨が降るから停滞する。
雨が降るからルートを変える。

雨から逃げるようにいつもは訪れないような場所へ雨宿りがてら立ち寄ったり、雨を避けるように本来訪れるつもりがなかった地域へ足を延ばしたり。

普段の自分ならとらないような行動、選択。

その積み重ねが、旅を大きく変えていった。



元々の予定がくるい続けた結果、旅に出る前までは——ほんの数日前まで——前日までは——いや当日の朝、あるいはほんの数十分前まで「存在すら知らなかった場所」に自分が立っている。

そんな驚きの体験の連続となった。







思えば、「風雨来記」という作品を追いかけてきた割に、「風」のイメージにばかり注目して「雨」の要素にはあまり気を払ってこなかった。

どうしても自分の中に「雨の日」というものへの苦手意識というか、行動範囲が狭まったり行動意欲が削がれることへの忌避感があったからだけど、今回の経験を経て「旅」の中の「雨」という要素の重要性についてあらためて気づかされた思いだ。



普段の自分なら選ばない選択。
思わぬ印象の変化。
自分自身の価値観のポジティブな変化。

それって、自分にとってはリリさん――母里ちありとの出会いで起こったことと地続きだ。



「普段の自分なら選ばない選択肢だから、あえてそんな道を選んでみる」

今回の旅は、リリさんについて今後考えて行く上でも得がたい経験になった。









ここからは、自分が見つけた「予期せず出会った風景たち」の写真を並べて、ダイジェストで語ってみようと思う。










・旅のはじめの花火大会

雨予報で早めに決めたキャンプ地のそばで、ちょうど花火大会が始まった。




・雨で停滞、歩いて行けるところを散策している中で見つけた展望台






・天気予報とにらめっこしながらルートを変えまくった結果、立ち寄った山城。






・キャンプ場を探して走っていたとき「棚田→」と書かれた小さな看板に誘われた。

「マコモ」を見つけた! 出雲で非常に重要な植物






・偶然遭遇した、板壁のような山。左右どちらも崖。風土記にも記載があり1300年前からこの形







・強烈な土砂降りで停滞を余儀なくされたとき、運命的にちょうど目の前にあった温泉。源泉掛け流しで400円。風土記にも記載があるとても古い温泉地だと後から知る







・たまたま見つけた「伊弉冊」という名前の集落。かつてイザナミが降臨したのが地名由来らしい。イザナミの墓とされる比婆山が近いので、無関係ではないだろう。

イザナミが宿るという洞窟(磐境)
途中の道はこんな感じでかなり難易度が高い。熊笹をロープ代わりに登る。
「いざなみ川」の水の綺麗さは島根で見た中で一番かもしれない。集中豪雨の直後にもかかわらず息を呑むほど透き通っていた。





・山奥にあるたたら長者の旧屋敷。前知識なしで、偶然が重なってたどりついた

土砂降りも絵になる





・かつてたたらで栄えた町(この日は偶然どこも定休日)








・たまたま通りがかったラムネ温泉。近くには今も源泉が沸いていた。少し前ウィルキンソンや三ツ矢サイダーの炭酸源泉巡りをしたのだが、ここでついに、生の炭酸源泉を口にした。

飲むと鉄臭さの奥に、ラムネの味がする。昔は瓶に詰めて販売されていたらしい。今は諸事情で飲用不可とされている。






・間欠泉。普通の川原にいきなりあらわれる。







・酒谷の野湯(水)

温泉というより冷泉で川の水より冷たい。なのにぽかぽかあったまる不思議な「湯」だった
ガードレールの隙間から谷間へ降りていく









・期せずして訪れた広島との県境「野見野」

相撲の祖、野見宿禰(のみのすくね)の出身地






・前日まで全く知らなかったスポット「赤名湿地」

静かで空気も綺麗な、素晴らしいスポット。この旅の中でも五本の指に入るくらいお気に入りの場所になった






・通りがかりで、なんだか気になってついつい登ってしまった瀬戸山城







・今回は訪れる気は全く無かったのになぜか登っていた三瓶山

次から次へと雲が湧き出していた。








・三瓶山へ行ってルートが逸れたおかげで行けた温泉津ゆのつ温泉

温泉街のレトロな雰囲気がとても良い
自分がこれまで行った温泉でも最高クラスの超!良いお湯だった







・ルートが逸れたおかげで、海水浴まで楽しめた。今年は水着を持ってきてよかった

鳴き砂の浜、琴ヶ浜へ。
夏への扉
ついでに二年前は満潮で見られなかった珪化木(化石化した木)を発見できた。他にもいくつかあるらしいのでまた次の機会に。
仁摩の名物のあなご天丼を堪能。








・夕暮れが迫ってきたので一番近い夕日の名所へ。

いつかタイミングがあったら見たいとは思っていた稲佐の浜の夕日。まさかこの旅で実現するとは思ってなかった。
その場にいる全員が夕日に夢中。ゆったりとした不思議な一体感が心地よかった。







・その流れで、日が暮れた後の出雲大社前を歩く。

なんとなく覗いた出雲大社前駅の雰囲気が良すぎた






・道路を走っていて見つけたヤマタノオロチ型水汲み場

凶悪な見た目だけど、湧水の無料水汲み場。ミネラル分多めらしい。ただし、夜は休止する。
昼にも訪れてみた。駐車場完備で立ち寄りやすい。






・出雲バイパス近くで出会った大国主の像。一定間隔毎にスサノオからシロウサギやワニ、スセリヒメまで出雲神話の登場人物たちが道ばたに並んでいる






・三瓶山の山頂で出会ったお姉さんにおすすめされた「出雲弥山」。出雲大社の隣山

正面にぽっかり浮かぶ三瓶山が見える。
昨晩見た出雲大社の大鳥居や稲佐の浜までよく見える。
先日三瓶山に登っていなかったら、こんな場所があることを一生知らなかったと思う。
この山、やたら根っこの長い木が目に入る。
出雲弥山は、この旅で出会えた、特にお気に入りの場所のひとつ。








・やっと発見した「真名井の清水」。出雲大社の神水。

出雲大社の境外、住宅街の中にあるのでちょっと見つけづらい。以前の大社探訪時はたどりつけなかった。
キンキンに冷えていた。この夜お茶に使用させていただきました。
すぐ近くにある命主社(みことぬしのやしろ)。境内には弥生時代の遺跡があり、九州産の銅製品と糸魚川のヒスイ製品が出土している







・なんとなくご縁横丁に立ち寄ったら……

いつも夏に訪れているから、出雲発祥と言われるぜんざいを食べる機会がない……
と思ったら、夏メニューのぜんざいがあるらしい。
そんなわけで、夏メニュー「冷やしぜんざい」を楽しんだ。






・偶然、ルート上に、いつか行きたかった神社が!

以前から存在は知っていていつか行きたいと思っていた……けれど場所を把握していなかった神社。たまたまルート上にあった。
田んぼの黄緑、山の緑、空の青。そんな中に赤い鳥居の列がよく映える。
ここは参道の途中に線路があって、電車が横断することで有名。数十分待って、やっと電車が来た!
すぐ近くには出雲ドームがある。近くで見ると思ってたよりずっとでかかった!いつか入ってみたい。







・弥生時代の出雲王の墓と言われる四隅突出型墳墓群。今回特に驚いたのが……

このこんもりした森! これ自体が最大かつ最後の四隅突出型墳墓だという。
この墳墓群から発見された青いガラスの勾玉。色もデザインも良すぎる






・先ほどの墳墓群に併設されている資料館の係員さんに教えて貰って……

このお寺の……
墓地の中に……
古墳が残っていて石道や石室の中に入れるという。
大人が立って手を伸ばしても天上に届かないくらい、でかい石室。中にはかつて死者を横たえた石棺が今も。
こちらはまた別の古墳。すぐ近くにある。というかこのあたりはこうやって石室に入れる古墳がたくさんあるらしい!!!
この古墳の石棺は、柱が突き出たような独特の形状をしている。石棺は出雲以西の文化だそうだ。
備え付けの懐中電灯片手に中へ。ドキドキの体験だった。
また別の古墳。ここはかなり昔に手が入れられていたらしく、中にお地蔵さんが祭られている。





・夕日に追われて

この日も夕焼けが綺麗そうだったので、小高い場所を探してこの展望台へ辿り着いた。
出雲平野を一望!









・なんとなく空港へ











以下、執筆中

数日以内に追記します。



















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