■「風雨来記4:母里ちあり編」について書きます。ストーリーのネタバレ有り。
■「自分はこう考えたよ」という、個人的な感想・考察記録です。
■ 記事内で、ゲーム内のスクリーンショットを、権利元様を表記した上で引用しています。
■ 特に記載のないイラストは、管理人による二次創作です。
■ 月子さんに関する情報はとても少ないため、今回の考察はいつも以上に、推測の余地が大きくなります。あらかじめご了承下さい。
「クールでミステリアスな少女」
風雨来記4に登場する人物の中でも特に異質な存在と言えるのが、「雪花月子」こと橘月子さん。
リリさんの小学校時代からの親友で、姉のように母のように、彼女を見守ってきました。
人の顔を見分けることができないリリさんの事情をいち早く理解し、「そういう個性として飛び込んでいけばいい」と人の輪へと連れ出したのも月子さんです。
そのアドバイスのおかげで、引っ込み思案だったリリさんは今のようなポジティブな生き方をできるようになりました。
その神秘性や、行動の不可思議な点、過去作の人物との関係性など語りたい要素はたくさんあります。
幼少期にすでに精神的に成熟していたことや、付知峡での「偶然」のインパクトが強いため、「本当にふつうの人間なのか」という疑問さえ真剣に考えてしまいますが、今回の記事ではあくまでも「月子さんは、特別な力など持たないごく普通の人間である」という仮定の元で、最も根本的な謎を一点、考えてみたいと思います。
それはすなわち――
広い広ーいネットの海で、どうやってリリの記事を見つけたのか。
これ、ほんとに謎じゃないですか?
少なくとも自分は、この件の理由付けに関して長らくお手上げでした。
これがずっと分からなくて、長いこと悩んでました。
「実は凄腕のプログラマーで、自作の高性能画像検索システムでリリさんの画像がネットに出回ってないか常時監視してる説」
「例のイヤリングに発信器を埋め込んでる説」
「心が通じ合ってる=エスパー説(初代風雨来記にも、そんな夫婦の話題があった)
(風雨来記2のテーマは「離れていても心はひとつ」)」
などとあれこれ考えましたが、突拍子もない説をあえて支持するほどのとっかかりもなく。
あらためて考えてみても、月子さんの物語上の立ち位置がなかなかに不思議なのです。
特定の条件をすべて満たさなければ、月子さんは岐阜には現れません。
それどころか、ゲーム中に登場さえしません。
月子さんが物語に登場する条件は、次の通り。
・種蔵でリリさんと出会った日に、リリさんの記事をアップする
→すると、「雪花月子」名義で記事にコメントしてくれる
月子さんが岐阜に現れる条件は、次の通り。
・種蔵での三回目のリリとの出会いを記事にする
・上記を満たした上で、モネの池でのリリとの出会いを記事にする
・上記を満たした上で、國田家の芝桜でのリリとの出会いを記事にする
「岐阜に現れる条件」だけを見るなら、あくまでもごく自然な経緯と思えます。
月子さんの目当ては、元々は親友リリさんの記事で、そこから二週間以上(國田家の芝桜の記事まで)をかけて、だんだんと主人公のルポ、そして岐阜という土地の魅力そのものに興味を抱くようになり、帰国後真っ先に、聖地巡礼岐阜旅行にやってくるわけです。
のひコン記事へのコメントの文面から、岐阜に立ち寄るかどうかは関係無く、元々帰国の予定はあったようです。
そして、その予定の中には「この機会に久しぶりにリリと会う(サプライズで!)」は最初から含まれていたと考えられます。
ですので、主人公の記事はあくまでも、「月子さんが岐阜に興味を持つか否か」の分岐である、と考えられるでしょう。
付知峡で途切れかけていた主人公とリリの「縁」――月子さんが訪れない場合、二人の偶然の再会はここが最後となります――を結果的につなぎ止めたのは月子さんでしたが、その月子さんを岐阜へ導いたのは、他ならぬ主人公の貫いてきた、旅の記事と岐阜の魅力だった……と考えると、巡り巡る縁に、なんだか熱いものを感じてしまいますね……!
【仮説】月子さんはこうやって、リリの記事を見つけた
それではいよいよ本題に入っていきますが、月子さんはどうやってリリさんの写真を載せた記事を見つけたんでしょうか。
最初の記事では「リリ」という名前すら出していません。そもそも主人公はリリさんの名前を知らなかったのです。(イルカのイヤリングをつけた女性、と書かれていますが。何度見てもウサギにしか見えない…)
もちろん、しばらく連絡を取り合っていなかったので、記事の存在をリリ本人から聞けたわけでもありません。
では、何をどう検索すればのひコンの、リリさんの写真と記事をピンポイントで見つけて、他の読者の誰より早くコメントを書き込む、なんて芸当ができるのか。
これについて、「月子さんは特別な力など持たないごく普通の人間の女の子である」 という前提で、現実的にあり得る自然な成り行きを考えてみました。
ここから考察(想像)
まず最初にあったこと
・リリさんが仕事を辞めた。東京から島根に帰ることに決める。
これは確定。
次に、
・月子さんがリリの退職・帰郷を知って帰国する
あるいは、
・月子さんがリリとは無関係に(そもそも退職も知らない)帰国する
このどちらかがあったのではないでしょうか。想像ですが。
そして、次。
・リリさん、島根に帰る途中で、ふらりと岐阜(種蔵)に立ち寄り、
そこで主人公と出会って、記事のモデルになる
これも確定。
さて、問題はこの夜のこと。
リリさんから連絡したのか、あるいは、今日帰ってくるはずの娘が帰ってこないと心配した両親が連絡したのか。
どちらにせよ、リリさんと実家との間に連絡があったと考えられます。(二回目の種蔵で実家の話やお見合いの話が出ることはこれに起因するのではないでしょうか)
ここで、「今どこにいるんだ」と言う両親の問いに、リリさんが返答します。
「岐阜だよ。今日は飛騨の、種…蔵?ってとこ行ったよ。しばらく旅行するね」
たぶんケンカになった。
そしてそのすぐ後に、
・困った両親が、月子さんに相談した
・リリの帰郷のことを知ってか知らずか、月子さんが、
(リリへのサプライズを実行するため?)たまたまリリの実家に連絡した
このどちらかがあったとすれば、ここからの話は簡単です。
リリさんの両親からすれば、月子さんは娘の幼い頃からの親友、性格にまで大きな影響を与えた特別な友達、という認識があるでしょう。
たとえば「自分達が言うよりも、ちありも素直に聞くかもしれない」と。
かくして、「岐阜」「飛騨」「種蔵」というキーワードが月子さんに伝わったんじゃないでしょうか。
それを聞いた月子さんは、早速SNSで検索。
すると、ちょうど「たった今」アップされたばかりの、ある記事へのリンクがヒットする。
濃飛清流コンペティション・ぐるりの記事――種蔵の記事、そしてリリさんの写真。
……と、こんな流れだったのではないでしょうか。
考察と言うにはほぼほぼ根拠のない妄想ではあるのですが、主人公の記事を見つけた経緯として、自分が考え得る限り、いちばん無理がないパターンなんじゃないかな、と思います。
もし他に、こういうことも考えられるよ、とか、こう考えるともっと自然だよ、みたいな視点があれば是非ご意見をお寄せ下さい。
リリさん記事への月子さんのコメントに、
「彼女、相変わらず、いい顔してますね」
という言葉があります。
なにげない言葉ですが、誰よりもリリを知っているだろう月子さんは、「いい顔してない」リリもたくさん見てきたことでしょう。
個人的に、この一言から月子さんのとても嬉しそうな感情が滲み出てる気がして、印象に残っています。
下呂での「楽しそうですね(にっこり)」もなかなかくるものがありますが
当時はリリさん、主人公ともに、互いへのゆるやかな好意はあっても明確な恋愛感情はなかった……はずです(少なくとも本人達の意識ではそういう認識でした)が、月子さんには記事を通して、ふたりがどう見えていたのでしょうね。
「月のようにミステリアスな雰囲気の女性」
まだまだ秘密がありそうな月子さん。
- なぜ小学生時代から異様とも言えるほど理解力が高かったのか。
- 中学で東京へ越したのは理由があるのか。
- なぜ今、海外にいるのか。
- リリの兄さんとは同時期に東京、そして海外にいたことになるが、何か関係あるのか。
- 今回の帰国の目的は、リリと会う以外にあるのか。
- 特別なときにだけ身につけるイヤリングを、付知峡でつけていた理由はなにか。
- リリと同じく、初代風雨来記の旅と、生誕時期が同じことに理由はあるのか。
- 風雨来記1のとあるヒロインのキーワードが「月」であったことと関係があるのか。
などなど……
個人的に、考察が尽きません。
今回は月子さんを「ふつうの人間」という前提で書きましたが、次の記事では「月子さんは不思議な力を持っている」という仮定でも書いてみたいと思います。
風雨来記は「旅」をテーマにした作品ですが、旅をしていると、常識では説明できないような現象に遭遇することもあったり、なかったり……するものですから。
これに関しては、風雨来記1や風雨来記2、そして3と、過去作のネタバレを含む考察になってしまうかもしれません。
それでは、今回の記事はこのあたりで。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
縁があれば、また、別の旅の話で。
コメント
こんにちは。
月子さんがリリさんの記事を見つけた経緯、推理小説を読んでいるようで面白かったです。
他に思いつくかと言われると、全く想像つかないくらい納得してしまいました。
不思議な力を持っている仮定の説も楽しみにしています。
ありがとうございます。
他に考えるとしたら、たとえば共通の友人や母里兄と連絡をとっていて、そこを経由で……みたいな。
ゲーム内で語られていない推測要素がさらに多くなってしまうので、今回はお蔵入りです。
作中では月子さんの神秘性が繰り返し強調されていますし、小学校時代の子供離れした洞察力・精神性も異質なので、そちらについてもまた深く考えてみたいと思います。